【短編小説】卒業式⑩
古畑 時雄(Tokio Furuhata)
【短編小説】卒業式⑩
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【短編小説】卒業式⑩
コユキと約束した2月11日が近づくに連れ、僕は落ち着かない毎日を送っていた。
そしてその間に、僕は大学受験の第一志望を、最初の予定通り千葉大学にするか北海道大学にするか悩んで居たのだ。
それは僕の家族の件や、また同じクラスメイトのケンジと話した事に関係する。僕だけ内地を出て、都心の大学に進学する事に罪悪感を覚えて居たからだ。
そんな事を考えて居るうちに、コユキと約束した11日を迎えたのだった。僕がコユキと約束した「さっぽろテレビ塔」の下まで行くと、コユキは厚手のコートにマフラーをして待っていたのだ。
僕はコユキに、こう声を掛けたのである。
「コユキ、待たせちゃた? ごめん…」
するとコユキは嬉しそうな微笑みを浮かべ、こう言ったのだ。
「タケシ先輩! 遅刻はダメですよ…」
僕は申し訳なく、こうコユキに答えた。
「そう言えば今日が、『さっぽろ雪まつり』の最終日だったよなぁ…」
こうコユキに僕が言うと、コユキは僕にこう言い返したのだ。
「それじゃタケシ先輩! 遅刻のお詫びに、今日はふたりだけのデートです…」
突然のコユキからの提案に僕の心臓の鼓動は高まり、コユキの右手が僕の左手に重なり合ったのだった。
つづく…
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