第10話
コールボーイ / syudou
第10話
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『嘘つきのためのゴシップ』
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…本当に馬鹿らしい。
仕事の飲み会でちびちびと酒を舐めながら、ヒナは思う。全て馬鹿らしい。ちょっとした仕草にきゃあきゃあ騒ぎたてるファン達も、年をとっただけのセクハラ野郎な大御所も、酒に溺れるベテラン俳優も。
「まだまだいけるだろ、もう一杯だけ。俺が介抱してやるから、な?」
そう言って目の据わったスメラギに捕まり、縮こまる若手俳優。まさか、彼を息子のいる家にお持ち帰りする気なのだろうか。
(面倒くさ、帰ろう)
後ろからスタッフに声をかけられるが、ヒナは無視して居酒屋を出た。今日は無礼講、みんなどうせ酔って忘れている。それなら今は愛想を振りまくだけ無駄だ。
『ごめんね、どうしても貴女の色が見えないの…』
そう言って謝った天才カメラマンが、最後の撮影にヒナを選んでしまったのは彼女の失敗だ。
『エルさん、見えているものが全てじゃないんですよ』
その言葉が彼女を失明させることになるとはさすがのヒナも思わなかったが。…結果的に彼女はヒナの本質に気づけないまま、騙すような形で結ばれるまでになった。
「ま、嘘がいっぱいでも私がよければいっか」
アイドルの顔をしたヒナは、家で待つ盲目の恋人へ電話する。その表情は一点の曇りもなく輝いていた。
「もしもし?仕事終わったから帰りますね!」
テレビの中は嘘だらけなんてさすがに言い過ぎだけど。
テレビの中の人はみんな嘘つきだから。
彼等に狂わされた人々の結末なんて、決まってるでしょう?
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#ちゃバン
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