「続恋予報 二期展開予告」
秘密結社 路地裏珈琲
「続恋予報 二期展開予告」
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「人は、色々と大変だね」
「君こそ。人形も楽じゃないんだね」
二人っきりで独り占めにするには広すぎる、色とりどりのアオに満ちた世界。ぶらりと椅子から垂らした足元に、優しくさらいに来た波と、宝石の砂が砕ける。だけどそれよりも優しいのは、木漏れ日の中で彼女の黒髪を梳く、錆びついたブリキの指に、焼けたアンティークの素肌。
不意に、鋏を持っていた手が降り、肩に触れる。それが抱きしめる事を知らない彼の、最高の愛情表現だった。
「てる、僕の残りの時間を、君、もらってくれない?」
https://nana-music.com/sounds/054139a7
“捨てられた機械人形と、彼女の恋”
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数時間前まであんなに賑やかだったのに、みんなが寝静まった廊下は、微かなエンジン音が占拠していて、寝息すらも聞こえない。二人、ベッドの上で毛布にくるまって、肩を寄せ合い流れる星空をただ見送る。それで良かった。100年の時を超えて、やっと手にしたこの一晩に、特別な事なんか無い方が良い。夜空の寒さで際立った互いの火照りが、言葉よりも鮮明に、“愛している”と言っていた。
「アンナ」
サトウの腕が、彼女を求めて強く腰を抱き寄せる。
「......しょうがないヒトねぇ、泣かないでよ、私より先に」
「...キスしよう、また生まれ変わって、今度は僕が君を見つけられるように。たくさんキスしよう」
https://nana-music.com/sounds/05414813
“輪廻の先のハッピーエンド”
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「俺にしとけよ」
「え?」
あまりにも唐突な一言だった。夜風に掻き消されたふりをして、ぎこちない笑顔でもう一度聞き返すように首を傾げたら、やけを起こした太い腕が、そのまま頭を抱き寄せた。
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「うるせえ!!頭も人相も悪いし、才能なんか皆無の俺が、誰のためにあんなクソしんどい試験受かって一人前になったと思ってんだよ!!あんたに良いとこ見せたいからじゃん!!」
「あの日あんたがくれた珈琲で、俺は変わったの...時代遅れで明日が見えねぇこの仕事に、誇りを持つって決めたんだ。俺は、あんたに夢を運ぶ!あんたが大っ好きだ!!」
https://nana-music.com/playlists/3114026
“おとぼけ彼女と、サンタさんの片想い”
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冷たくて仕方がなかった氷の身体が、焼け付く炎に身を呈し、呼吸を守って運んでくれる。やめて、もう降ろして、そう言いたいけれどまだ意識が朦朧としている。ぎしり、きしきしと、嫌な音が聴こえて、雪が溶け落ちる音が時々聴こえていた。死ぬなよ、だってまだ、”おてて繋いで“ないじゃないか。”その先のハグ“だって、するんだろう?
...—-
「やめるんだ、君!そんなことしたら一生分の才能を燃やし尽くして、金輪際魔法を使えなくなってしまうぞ!」
「いいの!!それなら今ここで、わたし、10分間世界最強の魔法使いになる...私が、こいつを守る番!!」
こいつを好きかどうかはわからない、でも、”すき“と笑ったあの声が、目が、今何故だか胸を締め付けているのは確かだった。
https://nana-music.com/sounds/05435ee1
”スノーマンと魔法使いおねぎ、一晩の冒険“
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この間夜道で出くわした時は、あんなにいばり散らしてご自慢のお耳をピンと立てていたくせに、このザマだ。何か言うことはないのかと、テーブルの下で耳を垂らし、尻尾を丸めた長身をつついてやったら、今度はか細く、にゃあんと鳴いた。
「もう!にゃーじゃなくて、ごめんなさいでしょう!誤魔化さないの!」
「わ、悪かったよ!ほんとに、悪かったと思ってる」
全く、黒豹だなんて彼には分不相応である。そりゃあ見てくれだけは一人前だけど、こんなに愛くるしくて、甘えん坊で、何より寂しがり屋さん。
「アヤ、俺......アヤのために、良い子になる」
https://nana-music.com/playlists/3108009
”野良猫王子様、蝶々さんに落ちる“
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「......必ず、必ず生きて帰ろう、姫」
「ノー、違う、私...お姫様じゃなかった」
手負いの成人女性を抱えるとなると、そう軽々と走ることはできないようだった。来た道なんか分かりはしないが、ただここに留まることよりは一歩でも動いた方がマシに決まっている。ケネディが自ら差し出してくれた、指先から滴る鮮血。それを舐めて、まるで兄弟姉妹のような金髪をそっとすり寄せ、彼は喉奥から声を絞り出した。
「じゃあ、俺が君をお姫様にするさ...!!ケネディ、血統なんかじゃないよ。俺は君に忠誠を誓った」
“ケネディ、吸血鬼に嫁ぐ!?”
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厄災という名に相応しい蛮行、一体なんだって言うんだろうか。顔は良い、がしかし、中身は正真正銘、純度100%の腐れ外道に違いなかった。ショックのあまり泣きじゃくる悼を指差し笑う、同じ髪色の男達へ、しろが中指を立てて怒鳴り散らした。
「せいぜい今のうちに一生分笑ってなよ、その顔!覚えたからね!」
...—-
「どんなに本を読んだって、知識を詰めたって、人間のスタンダードは俺にとって偽物の愛情表現だ。だけど俺の愛情が、人からすれば狂ってるって事くらい知ってる。なあ、どうしたら俺、あの子と普通にお喋りして生きてける?」
白髪を弄ぶ指先が、いつにも増して神経質に行き来する。双子の兄弟だ、彼が本気である事なんか、もうとっくに分かっていた。そして恋の病にもがき苦しむ兄を前に、自分が抱いたそっくりの恋心は、いよいよ行き場を失って胸の内で煮詰まり行く。
「大丈夫だよ、俺がなんとかしてやる。天才だからね」
...—-
「知ってたんだ、そんな方法ないって......それでも、試さずにいられなかった」
「待ってよ、ねえ!!自分だけ楽になんないでよ、最っ低!!!」
「俺が悼のこと、本当に好きだったって事だけ、覚えててくれる?」
「両想いは、絶対ハッピーエンドだって、相場が決まってるの!これが、私たちのハッピーエンドなの!!」
「いいかい、しろ、お父さんはこんなの......絶っ対に許さないからね!!」
“オセロの恋、ヒトと悪魔と双子と双子”
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熊か何か...いや、熊そのものでしかない彼は、畑のど真ん中である事も、朝っぱらである事も、果ては人前である事も忘れて跪き、ふーらの泥だらけの手をそっと、両手で包み込んだ。
「あなたのような女性に、私は今後出会える気が全くせんのです。返事は、無くても構やしません......文を、送らせちゃあくれんですかね」
___...
「何故でしょう、私、手を繋いだのは一度きりなのに...あの方の手が恋しいんです」
「見た目じゃァなか、心やぞって、君は励ましてくれたけん」
“姫と野獣!?彼と彼女の恋文婚”
next.....
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