【声劇台本】ある空想信者の手記
あなた()
【声劇台本】ある空想信者の手記
- 98
- 5
- 0
もうこの場所ともお別れだな。
…長かったな。
最近はずっと手付かずだったから…
いつからだろう。
いつから、私は書けなくなった?
……………
まぁいいや。
こんなのは慰めだったのさ。
私にとって…
………夢をみることが少なくなった。
…あの頃は鯨と宇宙を遊泳することも
簡単だったのに。
暗い暗い星空の下。
風が強く吹き荒れている荒野。
耳元に高い植物が揺れる音が聞こえる。
その世界の中心で、
小さな少女とも少年ともつかない子供が手を振っている。
さみしそうな顔だった。
そっか君はもう、行ってしまうんだね。
そう言っているような気がした。
大人になっていく自分が信じられなかった。
空想の地図は、燃え尽きたのだろう。
それとも自分で火をつけたのか。
誰のためでもなかった。
さみしい私のための物語だった。
いつも、あなたは檻の向こうで怯えていた。
この世界に怯えていた。
心が寒くて震えていた。
私はあなたの共犯者になった。
私の虚無を隠すための友達になった。
でも、それも今日でおしまい。
エンドロールがもう流れている。
……最後に何か言い残すことはある?
………………
…ありがとう。
いつかまた、ちらとここへ来るから。
…それまで待っていて。
…さよなら。
✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧
お久しぶりです。我夢です。
しばらく、nanaでの投稿はお休みします。
とはいっても辞めるわけではないので、
ちらと戻ってくることもあるでしょう。
台本をみてくださる方、いつもありがとうございます。
皆さんからいただいた言葉はいつも励みになっています。
ありがとうございます。
それでは、また逢う日まで。
2020.01.12
Comment
No Comments Yet.