天使のくれた奇跡
Libera/天使
天使のくれた奇跡
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#キャロなな #天使のくれた奇跡 #クリスマス
返事をしない兄の体を思いっきり抱きしめるアスモデウス。
まるで人間のような愛の形にセラフィムは昔の事を思い出す。バルベリトとアスモデウスが、まだ天使だった頃の話。セラフィムとは同期で仲のいい3人組だった。悪魔になって以来2人の関係の歪みが出来てしまっていたようだが、命をかけてでも守りたい。本当は誰よりも互いを想い合っていたそんな二人がセラフィムは大好きだった。
セラ「エクスシア。私が変わるよ。下がっていなさい」
エクスシアが下がったことを確認するとセラフィムはアスモデウスの元へと歩み寄りそっと頬に手を添えた。
アス「なんのつもりだ。それで慈悲のつもりか」
セラ「そうだ。」
アス「やめてくれ。そんなことするくらいならいっそ殺せよ」
セラ「そうだな。もうここで全て終わらせよう。辛かっただろう。救われたかっただろう。
私がちゃんと、君の魂をバルベリトのところまで導いてあげる。今度こそちゃんと二人で仲良くするんだよ」
アス「……セラ。」
アスモデウスは大粒の涙を溢しながら何度もありがとうと言っていた。
セラフィムがアスモデウスの額にそっとキスをすると、少しずつ塵のように体が散らばっていった。
それは優しくて温かい、陽だまりのような死。
アスモデウスの最後の欠片は風に舞って色の変わり始めた空の彼方に消えて行った。
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