悪魔の踊り方
キタニタツヤ/青年(CV.°しえる)
悪魔の踊り方
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#キャロなな #悪魔の踊り方 #クリスマス
嘘だ。こんな事絶対にあり得ない。
だって俺は間違いなくちょっと前までは仕事をしていたんだぞ。なのにどうしてこうなった。
何故俺の目の前で女性が死んでいるんだ。
しかも最悪なことに彼女は氏神様の末裔じゃないか。
そんな高貴な方を殺めたと知られたらただでは済まないだろう。
あぁ、一体全体どうなっているんだ!!
そもそも俺には彼女を殺す動機がない。
本当に何でこんな事を……!
一人悶々と思考を巡らせる俺の背後に誰かの気配を感じた。恐る恐る振り返ると、そこには双子らしき二人の子供がこちらを見つめていた。
彼らは自らを『悪魔』と名乗った。
バル「ピーピーピーピーうるさいなぁ。そこに居たから殺したでいいじゃん」
アス「そうだよ。お前は誰でも良かったんだ。
殺してバラして粉々にして。溜め込んだストレスを発散出来るなら誰でも良かったんだよ。」
青年「お前たち、何言ってるんだ……?」
バル「なぁに?楽しくないわけ?
これが今までずっとお前が望んできた至高の瞬間だったんじゃないの?」
青年「たしかに、みんな滅びてしまえと恨めしく思っていた時もあった。でも、こんな事は望んでいない」
バル「嘘だね」
青年「嘘じゃない!!本当に、こんなつもりなかったんだ。
だって、人を殺めるだなんて大罪だろ?
まともじゃない……きっと俺は狂ってしまったんだ」
アス「まとも?まともって何?狂ってしまった事の何をそんなに恥ているの?」
青年「これが恥だなんて可愛いものに見えるか?俺は悔やんでいるんだよ。罪を犯してしまった事への後悔だ!」
アス「今更後悔したところでどうするの?彼女は戻っては来ないよ?」
バル「人間って本当可哀想だよね。生きるとか死ぬとかにいつも振り回されてる。そんなのめんどくさいし、全部捨てちゃえばいいのに」
青年「……死ぬのは怖いだろう。だから生きるためにみんな必死になるんだ。」
バル「分からないな。人間のエゴなんてものは。
そんな醜い感情なんかあるだけ無駄だね。穢れちまうよ。」
アス「君は今までそんな汚い感情に振り回されて辛い思いをしてきたんじゃないの?」
バル「例えば、楽に生きるために代わりに他の奴が死ぬ気で働けばいいと思ってる奴らとか」
その言葉を聞いた途端、体中に電流が走った。
自分ではもうどうすることも出来ないような、まるで何かの引き金が引かれてしまったかのような、憎しみの炎が俺の中で一気に燃え上がる。
アス「僕らの主はそんな薄汚い奴らが大っ嫌いでね。そいつらを一掃しなきゃいけないんだよ。
もし、お前が僕達に協力してくれるって言うんなら、助けてあげるよ?」
バル「お前の恨みも晴らしてあげるよ。でもそれには、大勢の犠牲が必要でね。」
青年「犠牲……?」
バル「欲望と言う名の魂だよ」
クスクスと笑う双子の声が脳内を駆け巡る。
こいつらに全て身を委ねれば俺は救われるのか?
【救われたい】
藁にもすがる思いで必死に救いを欲した俺は、
彼らのことを受け入れた。
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