草原の絵描きと少女【声劇/朗読】
台本: 暗ラ
草原の絵描きと少女【声劇/朗読】
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#台本 #朗読 #声劇 #暗ラ #切ない #ファンタジー #少女 #なべこオリジナル #なべこぴあの
雨飴→◆
コラボ相手様→◇
◆限りのない草原が広がるそこで、僕は絵を描いていた。
草の緑と空の青、それ以外にそこには何もなかった。
そこで僕は絵を描いていた。
◇「何の絵を描いているの?」
◆突然、そこに新しい色が入り込む。
白いワンピースを着た少女が、僕の目の前に立っていた。
◇「何の絵を描いているの?」
◆僕が黙っていると、少女は同じ質問を繰り返した。
僕は自分のキャンバスに視線を移す。
◆「僕は……」
◆僕は、何を描いていたんだっけ。
何か、大事なものだったはずなのに。
キャンバスには僕の知らない町が描かれていた。
◇「帰ろう」
◆少女は歩み寄って、キャンバスを見えないように裏返す。
◇「あなたはこれを思い出してはいけない」
◆「どういう……」
◇「ねえ、ずっとここにいてくれるよね?」
◆少女は焦ったような、泣き出しそうな顔をしていた。
僕は目を細めて、少女を見つめる。
少女の白は、草原を照らす太陽と同じように眩しく、同時に、周りの色に溶けて、消えていってしまいそうだった。
◆「どこにも行かないよ」
◆「だから、」
◆「だから、どこにも行かないで」
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