【ホラー台本】「おさまらないもの」 前編
台本:グリリ BGM:しゅうまっちゃさん
【ホラー台本】「おさまらないもの」 前編
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ホラー台本をひとつ。
心霊専門を取り扱う男のもとに、とある男が心霊写真かどうかを見て欲しいと訪れるが……。
以下台本↓
『都内で相次いで起きている殺人事件はこれで三件目となり、警察はこの異常な事件について――』
「これなんだけど」
テレビがまたあの事件の報道を流している最中、遠藤と名乗る男は机の上に写真を出した。
写真はどこかの岬らしい。左から順に初老の男性、高校生ぐらいの女の子、四十代前半ぐらいだろうか、女性の姿が映っている。家族の旅行写真といった所だろうか。
「これが、どうしたんですか?」
そう言うと遠藤は不満げに顔を歪めた。
「言わないとわかんないの?」
遠藤は苛立ちをあらわにした。
「この3人はもうのこの世にいない。この写真を撮られた後に死んだ。この岬、自殺の名所らしい。だから、何かそういう要因があるのかなって」
思わず鼻で笑いそうになった。
遠藤がここに来た理由。それは、俺がそういった類のものを専門に扱う事を生業としているからだ。
ーーなめられたもんだ。最初っから全部、見えてんだよ。
「遠藤さん。この写真には何も写ってないよ」
「そうか……」
「他の霊能者は、そう言ってくれなかったんだろ?」
その瞬間、遠藤の顔がこわばった。
「死んだんじゃない。まして霊の呪いでもない。お前がこの3人を殺したんだ」
遠藤の顔から血の気が引いていく。
「自分だけ同じ家族の中で除け者にされてたみたいだな。 で、物的証拠は消しても殺した家族に怯えたお前は霊能者を頼った。そんなものはいないとお墨付きをもらうために。でも、俺と違ってエセだからなほとんどは。全員に霊がいるって言われたんだろ?」
世の霊能者のほとんどが自称のガセだ。ありもしない力で金を騙し取るクズ共だ。
「で、そいつらも殺した。逆恨みもいい所だな。あのニュース、お前の事だろ?」
後ろのテレビを指さしてやった。
遠藤はただ黙って震えていた。
「安心しろ。霊なんて写ってない」
「……警察には」
「霊視の結果犯人でしたが通じるわけねぇだろ。が、いずれバレるよ」
「それも霊視か?」
「いや、常識的見解だ」
「そうか……邪魔したな」
遠藤はそう言い残して出ていった。
後編↓
https://nana-music.com/sounds/05249902
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