新商品を開発したい【さとら】
くー
新商品を開発したい【さとら】
- 24
- 1
- 0
秋のさとらの朝は早い。
決まった時間に起き出し、早々に支度を整えて、水の精霊の集まる穴場へ向かう。質の良い力のやどった朝露をかき集めた後に、樹木鹿の墓場と呼ばれる場所で骨や角を広い、道すがらに生える薬草を摘みつつ、呪詛の材料を自力で集められるだけ集める。
街に戻ると素材屋を覗き、余った薬草を薬局の茶屋に売りに行き、飛竜ギルドに届いた荷物を受け取って、午後は呪詛作り。夜にランプ屋で屑蛍石を買い取り、酒場の客に依頼された呪詛を届ける。
また明日早く起き、朝露を集め、骨や角がないか墓場へ向かい…そして夜を迎え、また早く起き…
「………飽きた!!!」
呪詛を作る手を止めて叫んだ。不意に感じてしまった感情。最初、自分自身何を言ってるのか分からなかった。改めて思い返してまた呟く。
「飽きたなぁ…」
季節が巡ればまた精霊の動きも変わる。作る呪詛も変わるが、やはりルーティン。作業の繰り返しは変わらない。
「季節と精霊、神々に感謝してってのは分かるわよ?その力を最大限に活かせるタイミングもあるから、その間に決まった仕事をいけないってのも理解してる。一族みんなそうだったものね…春の仕事、雨季の仕事、嵐が来た時の仕事。呪詛に関わる魔女ですもの、先祖から教わったとても大切な営み…」
刺青を擦りながらぽつりぽつりと気持ちを出していく。
「でも、このままでいいのかしら?何か大事な事を見落としてる気がするのよね…」
レシピ帳を何気なく手に取り、何を見るでもなくパラパラとめくる。
「あ、この呪詛って大叔母さんが作ったんだ…」
レシピ帳の最後の呪詛を眺めてつぶやく。そこから呪詛は作られていない。
「………これよ!呪詛制作は難題中の難題、簡単に作れるものじゃないけど…やってみようじゃない!!」
椅子からガタリと音を立てて勢いよく立ち上がる。さとらの目の前には様々な数式、魔方陣に素材の知識が目まぐるしく駆け巡っていた。
‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇
新商品を開発しましょう。イメージに合う曲を提出してください。
Comment
No Comments Yet.