異国より来たる薬箱 アカツキ
Foorin / 米津玄師
異国より来たる薬箱 アカツキ
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「アカツキさん!!居るのはわかってるんですからね!!ドア開けますよ!!
……って!ぅふぁあ!!!」
ニフが借金の取り立てかと思うような文句を放ちながら部屋に入ってきたかと思うと、あまりの匂いに卒倒しかけた。
「…全く…行動には必ず意味があるのだぞ。今は入るなという意味だったのに…
それに、その態度…。儂の大事に育てたドクダミに謝れ」
静かに述べてはいるが、黄色くツンとたった耳が彼の怒りを伝えていた。
アカツキ。彼は元々はこの国の者ではなかった。獣人属の中で最も彼らの崇める神に近い毛色をしていたが為に、幼い頃に神の使いとして不老の呪詛をかけられ、生殖能力を奪われた。
聖地に長らく閉じ込められていたが、国が襲われ戦乱が起こり、その混乱の最中に逃げ出してきたそうだ。
聖地にいる間、暇があれば様々な薬草、薬鉱石、薬水を学び漁っていた。逃げる際も自身の国の薬草を持ち去り、長い長い努力の末、やっとこのキリエの地で育つよう品種改良に成功した。今彼は、お茶屋兼薬局として森の奥側に店を構えている。
狐のような黄色の毛並みの耳としっぽ。心無しか鋭く見える大きな目。フサフサの白とも鶯色ともつかない髪。呪詛の朱色の刺青が所々入っている。
威厳ある態度と言葉遣いなのだが、どう見ても少年のようだ。
「はぁ…すいませんねぇ、こちらも朝早くから街中歩き回っては帳簿作り…どんだけ辛いと思ってるんですか…」
ニフはまたもや半泣きでボヤき出す。
全く世話のやける…と小声で切り捨てた後、すっと湯呑みをニフに差し出した。
「飲め。…安心しろ、これはこの国の世界樹の茶だ。しかし、儂の国風のアレンジをしてあるがな」
一瞬顔が引つるニフだったが、アカツキの剣幕に押され、渋々飲み出す。
「…!美味しい!!独特の香ばしさが…!」
「ほうじ茶だ。それでも飲んで、少し待っておれ」
ぶっきらぼうに筆を走らせ、住民帳を投げて寄こした。
「わっと!!…はい、アカツキさん。種族、獣人。お茶屋兼薬剤師…と。記入漏れもないですね。助かりました。憑神は……う、うかの?えっと…宇迦之御魂神…ですかね。異国の神は呼びにくい!大地と癒しの魔法が使えるようですね。ありがとうございます!これで仕事が終われる…!」
「おい!」
アカツキの呼び掛けにビクッと振り向くと、ムスッとした顔で小さな巾着を手渡してきた。
「さっきの茶だ。持ってけ…」
「…ふふ、ありがとうございます。では、また」
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アカツキ 中性 獣人(狼系)
お茶屋兼薬剤師
宇迦之御魂神のカミツキ
データを保管致しました。ようこそ!キリエの商店街へ…
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