【二人声劇】扇子の蕎麦【台本】

『』×「」

『（蕎麦をすする音）』 「おや八雲亭、こんなところで何を？」 『おお、これはこれは柳家！ いやね？ そこの蕎麦屋で昼飯を食べようとしたんだが 生憎持ち合わせがなくて』 「それで、なぜこんな道端に？」 『そりゃもう、曲がりなりにも私ゃ噺家ですからね 蕎麦を食べる「ふり」をして それで空腹を紛らわせていたんですな』 「かっかっかっ、そいつぁ、面白い どれ、もう一度見せちゃくれませんか？」 『いいですとも （蕎麦をすする音）』 「おお、これは見事なものですな 私もなんだか腹が減ってきました」 『どれ、あなたもひとつこの扇子（せんす）で 蕎麦を食べるのはいかがですか？』 「いいですな！どれ、（蕎麦をすする音） かっかっかっ、こいつは面白い！ なに、道端でありもしない蕎麦をすするのも 愉快ですな！」 『実に愉快愉快！本物よりも美味く感じますなあ』 「…時に八雲亭 盛大な腹の音が聞こえた気がしましたぞ？」 『…いやいや？気のせいにありませんか？』 「…そうですかい では私は一杯ひっかけてきますので、これにて…」 『ま、ま、待たれよ柳家！ 後生だ…一杯奢ってはくれまいか…』 「かっかっかっ！ 全く、最初からそういえばいいものの 扇子の蕎麦では腹は脹れますまいて」 『いやはや！面目ない！ しかし、ひとつ分かったことがある』 「なんだい？」 『ああやって道端で扇子をすすっていれば いずれ本物の蕎麦が現れるってことだ』 「かっかっかっ、これは一本取られた！」 BGMありがとうございました。 噺家と噺家のひとコマを書いたつもりです。 が、蕎麦をすする音などはご自身で入れてもらうので難易度高めかもです。 ご使用の際には一言コメントいただけると幸いです。 #声劇 #台本 #2人声劇 #掛け合い #mitagraph