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    じゃーんけんぽん、で男がうっと息を詰めて咽せた。 鳩尾に深々とめり込ませた拳を捻るように押し込んで、全体重を乗せて床に押し倒し、小回りの効いたスピンで遠心力を味方付ける。小柄で華奢な女の子が目にも止まらぬ速さで、文字通り、成人男性を振り回して叩きつけ、まるでぬいぐるみに癇癪起こした子供のように暴れまわっていた。 「...彼女、アレ合気道かな。速いね、とても」 感心して見守るイチロウの隣で、花子が眉を下げて“かわいい”と目を潤ませる。涙目になりたいのは男方だろう、と、言うまでもない一言をコーラに流し、試合終了のコールに拍手で沸いた。 「連れて帰りたいわ、あのこ」 「書生、目離さないでね」