声劇台本【亡霊鯨の彷徨う街】No.5
貴方様
声劇台本【亡霊鯨の彷徨う街】No.5
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───冷たい。苦しい。理解されない。
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寂れた街。街路樹の下。雨宿り。
「嘘つきばっかり」
跳ねた泥水が、ズボンを濡らす。
ペンキが剥がれた横断歩道を眺める。
少しだけ、眠たい。
「ずっと、ひとりぼっちだ」
思いは巡る。頭が痛い。
遠くから聞こえるサイレンの音に耳を傾けた。
現実には、戻って来れそうにない。
「誰も僕なんて見てくれない」
昨日の思い出に溜息をつく。
明日の授業に嫌気が差す。
消毒液の匂いが、鼻を過ぎる。
忘れた頃に痛みを思い出す。
透明な傷を抉る。血は冷たかった。
心は次第に錆びて、鈍くなる。
僕の中で膨らんで、いつか破裂する。
「路地裏の花になれたらいいな」
夢見て。泣いて。消える空想。
ただ俯いて、退屈な日々を憂泳する。
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───そんな悲しい瞳で僕を見ないで
捧げたい
寂れた=さびれた
過ぎる=よぎる
憂泳=ゆうえい
コラボの際は拍手かコメントをお願いします...!
#雨 #彷徨鯨 #箱庭 #空白 #迷子 #苦痛
#レーニャ #旧聖随筆
Comment
4commnets
- ゆえお借りします
- -お借りしました!🥶
- 52㎐大切に声を乗せますね、!! とてもとてもうれしい;;
- 52㎐貴方の綴る言葉が本当に好きです...