「そして、君は...」
京紫乃
「そして、君は...」
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第三ゲーム後、紫乃の独白
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紫乃は第三ゲーム後、そのまま家には帰らずにずっと紗羅の様子を見守っていた。
紗羅は神原零の瞳とピアスを見ながら、声を抑えて泣いている。
その姿が、今より少し幼い自分の姿と重なって見えた。
🌸「(ほんっとに、どうしようもない神様よね。どうして私達なのかしら。どうして...。どうして、大切な人を連れ去ってしまうのよ...。)」
紫乃はその場から静かに離れ、路地裏の壁にその怒りをぶつけた。何度も何度も壁を殴り、身のうちに燻ぶるどうしようもない怒りを発散させていく。そうして少し落ち着いた後、紫乃はその場に崩れ落ちた。
その瞳には、あの時から流れたことのなかった涙で濡れている。
🌸「あの子にあんな顔させたくなかったのに!!!!あんな顔をさせないために、私は力を手に入れたのに!!なんの役にもたっていないじゃあないの!!どうしてなのよ...!どうしてあの子があんなに傷つかなきゃいけないのよ!どうして...私はあの子を幸せにしてあげられないのよ...!」
何もできなかった自分に苛立ちが募っていく。これはいつか必ず起きる出来事だったのに、他に何かやりようがあったのではないかと考えてしまう。
しかし、いくつもの未来を考えるが、どうしても二人の幸せな未来は浮かんでこなかった。
それから少しして、紫乃は立ち上がる。
🌸「...。私が泣いたところでもうどうにもならないわ。今、私がやるべきことは、紗羅のサポートとこのゲームを勝ち抜くための戦略を考えること。......紗羅のためにもこの戦い、負けられないわ。」
そうつぶやいたあと、紫乃は路地裏の奥へと消えていった。
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