台本「殺意は?」
すのまる。
台本「殺意は?」
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BGM無しだと緊張感が増しますね(私の)
久しぶりの声劇です
#甲殻類の台本 #声劇 #狂気
彼はいつものように昼前に家を出た。
「いってらっしゃい」
いつもの挨拶を終えると、彼独特な歩き方で歩み出す。
その後ろ姿を私はとても愛している。
そのままいつものように彼を駅まで見送る。
ああ…今日もとてもいい天気だ。
太陽は少し控えめに光り
空気はカラッと肌を撫で
雲は大きく輪郭を整えている
こんな日をきっと、幸せと呼ぶのだろう。
いつもの駅に着いた。
彼は毎日同じ改札口を通る。そしてそのままホームへと吸い込まれていく。
ここで手を振って、私は家路につく
だけどその日は、いつもとは違うことが起きた。
彼が切符を落としたのだ。
私はすぐに改札を越えてそれを拾い上げ、彼の後を追った。
ホームで電車をまつ彼の後ろ姿…
なんて素敵なんだろう。
そのまま私は彼めがけてかけていく、あの背中にいますぐに飛びつきたい気持ちを抑えながら…
「ドンっ」
と言う音と共に感じる、広くて強い背中の感触
けたたましい電車のクラクション
その中で聞いた鮮明な程に美しい音
それは、彼が電車にすり潰された、聞いたことのない程に、鮮やかな音だった。
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