【朗読台本】夜想曲
台本:壬音 声:
【朗読台本】夜想曲
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幼い頃、月は夜に歌い、朝眠るのだと思っていた。
彼は黄昏と共に目覚め、暁と共に眠りにつく。
心の生傷をそっと撫でるような月明かりは、彼の歌う声だ。
子供達が深い闇に怯えないように、彼は夜の守り人で居てくれる。
私は優しく頼もしい彼が、月が大好きだった。
無垢な子供を押し流すように、月日は流れていく。
月を見上げなくなったのは、いつからだろう。
めまぐるしく移りゆく日々に疲れ、
私の心はすっかり鈍くなってしまった。
夜の闇などもう怖くはない。
ただ、ガサガサに乾いた心が、
いつか砂のように崩れてしまうのが怖かった。
ある日の帰り道。
ふと誰かの歌う声が聞こえた気がした。
振り返ると、そこには大きな月。
「彼は黄昏と共に目覚め、暁と共に眠りにつく」
ああ、そうか。そうだった。
君はずっと、私を見守ってくれていたんだね。
今夜も、彼の歌声が聴こえる。
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