物謂わぬ口唇に生気(いき)を吹き込んで
今宵あなたは蘇る あの頃の姿で
白肌の娘が咳をした
「この身体貴方に捧げるわ」
白服の医者が囁いた
「迎えに行くよ」
白肌の娘は朽ち果てた
世界の誰にも見棄てられ
白服の医者は憐れんで
誰も知らない居場所で眠らせた
朽ちてもまだ 美しい顔で
ふたりしかいない霊廟(れいびょう)で
医者は恋をした
それは永遠の恋か 禁断の行為か
また逢いたいと願うだけ
それが罪なのでしょうか
物謂わぬ口唇に 生気(いき)を吹き込んで
今宵ふたりは結ばれる 祝福もされずに
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