大好き🥵
朝顔が咲いていた。横に空の如雨露が転がっ
ていて、いつか夏休みが終わってしまうことを
みんなが知っていた。ラジオ体操の判子が疎
らだからって怒られるわけじゃないし、まだ宿
題はほとんど残っているけれど、大丈夫、きっ
とまだ大丈夫。
気が付くと僕は鼻血を出して、ネット横、木の
下で横になっていた。鼻に詰めたティッシュに
汗と血が滲んでいた、凍ったアクエリアスが全
身に染みていくのがわかった。金属バットにボ
ールが当たる、上がる砂埃が目に染みる、蝉に
も負けずに叫び続けた「ばっちこい、ばっち
こい」何を待ってる?本当は何を待っている?
練習を終えると僕は歩いて帰った。道路沿い、
六階、親が置いて行った飯代。銀色の鉄柱、二
階の学習塾。キラやレアを待つ、商店街のカー
ドダス。静かに霊柩車が横切る度に、山内が
言っていたあの話を思い出した。「お母さんや
お父さんを連れて行かれないようにこうやっ
て親指を隠すんだよ。」って。
日が暮れて鐘が鳴る
ただそれの繰り返しを
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