【一人用声劇台本】『めしあ』
台本.くらげ/演者.
【一人用声劇台本】『めしあ』
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尺足りるかは知りません
【本文】
もし・もし!飯屋、店を開けてくれ。営業時間はとうに過ぎ、仕込みのため起きるにしてもまだ早い。そんな頃合いに戸を叩くからには冷やかしに非ず。持ち得る全てをくれてやる、そうさ!二つばかり注文を聞いてくれたらば
おお、飯屋。駆けつけ一杯、いや、注文。答えられよ、真か否か あの噂。客が何も言わずとも、その容貌を見れば望みがわかり、心腹共に満たしてくれるとか。真か、そうか!では"お任せ"で
はてさて何が出て来るのやら。郷土の味か流行りの南蛮料理か……実のところ、食い気はないのだ。ついでに言うと眠気もだ。どちらもとらず早四十九日。流石に奇怪と、水鏡を覗けども。なにぶん記憶が朧げで、どこが変わったのかわからない。わかるのは目頭が熱くなることだけだ。満たされまま、いきたくはないとーーン、どこへだ?
「あの世にさ」
ああ、ああ!そうだ、俺は……!フフ、どうりで。頭を吹き飛ばされちゃ記憶も朧げにならぁな。飯屋、飯屋よ。顔の面の厚い奴だと嘲られようとも構わない。おいていける額はそのまま、追加で注文したい。彼奴めをーーガチャリ・ガチャリラ、金子(きんす)が落ちて。ガチャリ・ガラリラ、男は消えた。
「代金の心配はいりませんぜ、お客さん。あたしゃ、アンタの心腹を満たすことができなかった。仇を討って初めて二つばかり注文を聞いたことになる。
それとそうと、この国の人にゃ南蛮語は難しいのかねえ?こうして空き家を使っていいと言ってくれるぶんにはありがたいのだが」
「救世主(メシア)、支度が終わりました」
「それでは営業(きゅうせい)開始だ。」
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4commnets
- 血なまこんにちは。台本お借りいたしました!すごく楽しませてもらいました!ありがとうございます!
- ちょむ読ませていただきました!とても難しく楽しい作品でした。ありがとうございます!
- George先生お借りしました!
- スギスケおかりしました!