彼女はきっともう戻らない
猥雑な夜の喧騒
赤や黄色 青白い明かりが
冬の星座みたいだった
灰皿でくすぶっているのは
彼女の吸い殻と
しみったれた感傷
思い出なんて消えてしまえ
校庭の隅っこで
体育座りしてぼんやりと見てる
野球部のフライを眺めるように
なんとなく未来を見てる
いつかは変わってしまうかな
大好きなあの子の笑顔とか
バカだったあいつらも
大人になってしまうかな
今まさにヒットを放った
四番バッターのあいつは
一年後の冬に飲酒運転で
事故って死んだ
その時 誰もがあまりの空っぽに
立ち尽くしていた
母さんが汚れたバットを抱きながら
泣き叫んでいた
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