1人声劇 返事なき感謝

演者【 】 台本【長久】

真面目な声劇台本第2弾！ 歳を重ねると、突如出現し深まっていくのはほうれい線と親への感謝…(΄◉◞౪◟◉｀) 『親孝行したいとき親はなし』という言葉もあります。 今回は、『親』というテーマでたまには真面目な台本を書いてみました。 よろしければ、演じてくださると嬉しいです！ 一人称変更、アドリブ、アレンジ、口調、やりやすいように楽しくご自由にお楽しみ下さい！(๑•̀ •́)و✧ 口調とか変更していただければ、男女関係なく演じていただけるかと思います！ ※ご使用いただける際には、音源提供者様へも拍手やコメントをしていただけると幸いです！ 以下台本 ----------------------------------------------- ※父version 父がこの世を去った。 病院に駆けつけた私を待っていたのは憔悴した母と、父の亡骸であった。 私は急遽、仏間(ぶつま)の準備や弔問客(ちょうもんきゃく)を迎えるため、実家の大掃除に追われる事になった。 「あちこち連絡して、調整して…悲しんでる暇もないな……。もうすぐ、初めての子供だって産まれるのに」 目が回るほど忙しく、自分が倒れそうだ。 「あ〜あ。汚れた靴を溜め込んで…こまめに捨てておけよ」 玄関のタタキに散乱する靴を次々ゴミ袋に入れていく中で、私はある事に気がついた。 「…全部、靴底がすり減って平らじゃないか…」 思い返せば、汚れている靴は、全て父が出勤する際に履いていった靴だった。 ふと靴箱に目をやると、プライベートで使う靴は新品のまま放置されていた。 「いつも忙しそうに走り回ってたよな……。たまにはゆっくり遊べよ。せめて……孫の顔ぐらい、ゆっくり見ていけよ……。父さん……ありがとう……」 私は新品の靴をそっとタタキに置き、汚れた靴は靴箱へと移した。 ----------------------------------------------- ※母version 母が急逝した。 連絡がつかない母を心配に思い実家に帰ると、眠るように息を引き取っている母を発見した。 父は既になく、私も既に家庭を持っている。 何度も一緒に暮らそうと誘ったが、母は頑なに実家を離れなかった。 現在、母の遺体は実家に安置されている。 母は多くの方に愛されていたようで、弔問客が絶えず訪れた。 せめてものお礼にと、簡単な料理を振る舞うため台所に立った時である。 「この包丁、変な形してるなぁ」 手に取った包丁に違和感を覚えた。 刃の長さは短く、横幅もやけに薄い。 まじまじと観察して、ハッと気がついた。 「これ、初任給でプレゼントした包丁だ……」 もう随分昔の話だ。 サビ１つない、何度も何度も研いで、手入れして磨耗してしまった包丁。 「今ならもっといい包丁をプレゼントできるのに。バカだなぁ……。いつまでこんな包丁使ってるんだよ……」 私は母へプレゼントした包丁を、自宅へ持ち帰ることにした。 「一緒に料理、しようね。……母さん、ありがとう……ごめんね」 ----------------------------------------------- お借りしましたBGM・・・haruki様より「lonely@bgm」→ https://nana-music.com/sounds/01d65e02 #一人声劇 #声劇 #声劇台本 ＃感謝 #死 #親