D.1 加州清光
紫苑本丸
D.1 加州清光
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#紫苑本丸
D.1 加州清光
俺がこの本丸に来たのは…主がまだ15歳の時だった。
主はイツキという政府の者に連れられて初期刀を選ぶことになった。
この審神者からは他の審神者とは違って何も感じることは出来なくて、まるで心がないかのようだった。
「シオン、これからこの五振のうち一振とこれから共に過ごすことになるだろう。不安もある、だがきっとこの刀が支えてくれるだろう。」
イツキは優しい声音でシオンに向かってそう言った。
しかし、審神者は一振にも手を差し伸べることは無かった。
「これからは自分で、全てを決断しなければない。」
「加州清光。……清光にします。」
彼女に名前を呼ばれてドキッと心が跳ねた気がした。
「そうか。……それでは加州清光を初期刀として審神者業に励んで欲しい。」
イツキは少し苦しそうに笑いながら言った。
どうして彼が苦しそうに笑ったのかは今の俺には分からないけれどいつかわかる日が来るのだろうか。
「あー。川の下の子です。加州清光。扱いづらいけど、性能はいい感じってね。」
「扱いづらいのは私も同じ。」
主は冷めた目で俺に向かって言った。
「それは奇遇だね。」
俺はこれからどんなことがあったとしても彼女を主として支えなければならない。
いつか主のその冷めた目を変えられたらいいなと思いながら主と本丸までの道を歩いた。
BGM
明日がくるなら/JUJU
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