第9話
乱
第9話
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9話
乱(独白)
昔から、何故か人目を引く体質だった。
僕自身だけじゃなくて、僕が作ったものも何故か注目を浴びる。
……けど、そんなの見た目だけの話。所詮中身は空っぽなんだ。
……だからこそ、その仕事を聞いたとき、僕にぴったりかもなんて思った。
アイドル。
見た目だけの偶像で、ただ人前に立つだけ。それだけでその場の視線を奪う僕には、ぴったりだった。
それに、少しでもお母さんの助けになりたかった。
僕が小さい頃にお父さんが死んで、それ以来お母さんは一人で、僕とお兄ちゃんを育ててくれてた。
だから、僕がアイドルとして働いて、少しでもお金を稼げれば、お母さんに楽をさせてあげられるかもしれない。
それだけ……ただ、それだけだったのに……。
乱:なんで、こんなことに……。
乱(独白)
大通りからは、まだ僕を探す人たちの声が聞こえる。ただちょっと、普通の人みたいに遊びに行きたかっただけなのに……。
乱:さんざんだ……。
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