【春_19日_夕】シオン/【夏_?日_夜】シオン
Hypericum second
【春_19日_夕】シオン/【夏_?日_夜】シオン
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#ひぺなな
【春_19日_夕】シオン
「主っ……!」
加州清光が私の方を見て亡き主に涙を流している。加州だけでなくて、カキツが愛した刀剣全てがカキツに思いを馳せているのが分かる。
そんな彼らに私は……カキツの真実、私の過去について話すことにした。
彼らは私が生きることを否定しない、…肯定してくれる人だから。
「……清光、聞いてほしいことがあるんだ。」
【夏_?日_夜】シオン
夢を見た、…残酷な夢。
その夢では私を殺そうとする人が沢山、私の両親を囲んだ。
でも…、とある男性が私を救い出して病院に連れていってくれた。
私は……、幼い頃から両親が居なくて両親の親戚に引き取って貰い、今まで生きてきた。でも、…毎日毎日、両親が死んだのは私のせいだって責められるばかりで…お前なんか生まれてこなきゃよかったって。
だから…生まれてこなかったことにしようと思って死のうと思った。
死のうと思ったのに…夢を見ているということはまだ死ねてない証拠。
(生きるんだ。)
心の中で誰かが私に言った。
…誰も私が生きることを望んでいないというのにどうしてそんなことを言うの。
私が夢から覚めて目を覚ました所は病院だった。
しかも、医者の人に臓器移植をしたと聞かされ…死ぬに死ねなくなってしまった。 きっと私の心の中で話しかけて来た人だろう。
…それからというものの何故だかよく分からないんだけど生きる力が芽生えてきたある日私はとある病室に足を運んでいた。
「あなたは…?」
…私の心臓が少し跳ねた。
私は……、いや…心が彼女を覚えていた。
「シオン、…あなたは?」
(…久しぶりだな。)
「カキツ。」
「…どうして、ここにいるの?」
(最後にお前の顔が見られてよかったよ。)
「ふふっ、突然だね。……私は重い病気を患っていてもう治らないの。」
「そうなんだ。」
(知っているさ。…俺にはどうすることも出来ない。)
心が泣いている。
「あなたはどうして?」
「死のうと思った、でも出来なかった。」
(シオンを助けるために、…俺はここにいる。)
「そう、………私と逆ね。私は生きようと思った。でも出来なかった。」
「どうして生きたいと思うの?」
「私ね……家族を置き去りにして来ちゃったの。彼らのことを愛していたのにね、酷いでしょう?」
「家族…?」
「えぇ。生まれ変わってもまたあの子達と家族になりたいぐらい大切だったの。…あなたにも家族、いるでしょう?」
「いない。」
(助けてやることが出来なかった。)
そんな家族は…いない。
「そう。………あなたはどうして死にたいの?」
「両親が死んだのは私のせいだって…だから私はいらない子。…家族なんていない、愛も知らない。…私に生きてる価値なんて無いんだ。……それなのに、…それなのに…死ねないんだ。」
「……もし、あなたが必要とされている世界があるとするのなら…愛を知ることが出来るのならあなたは生きたい?」
「え…?」
「私は…、私達はあなたを生かすことが出来る。」
「私…達?」
「きっと、この先辛いことがあっても強い心があれば乗り越えていける。でも、…強い心に自分の心を支配されてはならない。自分を持っていなきゃあなたはあなたではなくなってしまう。」
「…よくわからないよ。」
「あなたがもしそれでも生きたいと、愛を知りたいというのなら私はあなたに生きる希望を与えます。」
「どうして、…そこまでしてくれるの?」
「愛を知らないままなんて勿体ないじゃない。それに…あの人に恩返しがまだ出来てないから。」
「あの…人?」
「……あなたの心臓はね、私の配偶者であるイツキのなの。私はイツキに何もしてあげられなかった…。だから私の自己満足だと思ってもらっていいのよ。」
「…分かった。」
私にはきっと、強い心に対抗する程自分の心を持っていない。
でも、……愛を知ることが出来るのなら。
誰かが私を愛してくれるなら……。
※コラボ元キャプションあります
BGM
贖罪
傘村トータより
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