外郎売り 第1段落
二代目市川團十郎
外郎売り 第1段落
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昔取った杵柄とはよく言ったもので、授業でやった「演じながら」の外郎売りでございます。
拙いながらも一つひとつ自分なりの解釈をして何処を立てるか、どこを流すか。。。
他の人の演じる「外郎売り」さんはどんな感じなんでしょうねー( *´﹀`* )
⚫以下台詞⚫
拙者親方と申すは、お立ち会いの中に、 御存知のお方も御座りましょうが、 御江戸を発って二十里上方、 相州小田原一色町をお過ぎなされて、 青物町を登りへおいでなさるれば、 欄干橋虎屋藤衛門、 只今は剃髪致して、円斎となのりまする。
元朝より大晦日まで、 お手に入れまする此の薬は、 昔ちんの国の唐人、 外郎という人、我が朝へ来たり、 帝へ参内の折から、 この薬を深く籠め置き、用ゆる時は一粒ずつ、 冠のすき間より取り出す。 依ってその名を帝より、 とうちんこうと賜る。 即ち文字には、 「頂き、透く、香い」と書いて「とうちんこう」と申す。
只今はこの薬、 殊の外世上に弘まり、方々に似看板を出し、イヤ、小田原の、灰俵の、さん俵の、炭俵のと、 色々に申せども、平仮名をもって「ういろう」と記せしは、親方円斎ばかり。
もしやお立ち会いの中に、熱海か塔ノ沢へ湯治にお出でなさるるか、 又は伊勢参宮の折からは、必ず門違いなされまするな。
お登りならば右の方、お下りなれば左側、 八方が八棟、表が三棟玉堂造り、 破風には菊に桐のとうの御紋を御赦免あって、 系図正しき薬でござる。
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