か
や
か
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一驚した。
それはポケットの中に手を突っ込んだ瞬間の
ことである。
そんな、蒸し暑い晩夏の日没。
右手に握った小さな鍵を
持って、校舎の屋上へ続く
階段を駆け上がった
あの、夏の宵。
涼しい夜風のあたる
その頼りない柵に乗って腰を下ろせば
すぐ真下は…プールだろうか。
「お前…降りてこい」
「そっか、停学処分を喰らったのは私か…
停学中に悪いことするなんて、
私ってほんと変わってるよね」
「ああ、お前は変わってる
すごく変わり者だ。
夏休みが終われば停学も開ける。
まず、そこから降りて。」
「学校には行きたくない、
行く理由なんてない」
「言っただろ、学校に行く理由を作れって。
俺と話に来る、それじゃダメなの?」
「学校は退屈だよ、行きたくない、行けない」
「行く行かないじゃねえ、こい!!」
「か…ぁっ」
「っ!!」
落ちる。
吸い込まれそうな藍色が、どんどん
どんどん…
「_______________」
「チッばか!」
伸ばした手に体温を感じる。
冷たくて、強くて優しい温度
「手、離すなよ!」
大きな花が咲いた。
それは、彼の瞳に色を塗る。
綺麗な花火だな
その瞳も、景色も
すべて
あったかいな
「…馬鹿野郎
迷惑、かけんな」
ばっしゃぁん
深い海の底のような世界で
彼が私の腕を引く。
ただ、私の頬に涙が伝った、
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