声劇台本【雪が止んだら】(女性Ver.)(1人声劇)
しふあ (演奏:Sery、台本:梦乃)
声劇台本【雪が止んだら】(女性Ver.)(1人声劇)
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雪が散る。
積もらない雪。
まだ日の昇っていない早朝だった。
私は、忘れないでねと言った。
彼は分からないという顔をした。
私はもうすぐ死ぬの、と比較的明るい声で言った。
どうして?と彼は聞いた。
見えるでしょう?と私は言った。
何が?と聞き返す彼。
何と答えればいいのか分からなかった。
おひさまがもう昇ってくるわ、と一言だけ言った。
死ぬのとおひさまと何の関係があるの?
彼はそんな顔をしていた。
私は困ってしまった。
そういえば今夜は雪が降ってたねと
あからさまに話を逸らした彼。
そうねと私も呟く。
今も降っているかしら?
外を少し見てきてと私は急かした。
おひさまが昇ったら雪が止んだら
死ぬような、そんな気がした。
彼に言ったらそんなわけないと
笑い飛ばすかもしれないけれど。
もう最期だと分かっていた。
春をあなたと迎えることはできない。
あなたといられて幸せだった。
静かに深い深い眠りに落ちた。
柔らかい日差し。
雪の止んだ朝だった。
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