ハチスは夏に背を向けて
メル
ハチスは夏に背を向けて
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だからきっと大丈夫。生きていける。
メル_____ハチスは夏に背を向けて
テーブルに用意された赤く細い線が ごちゃごちゃに絡まった毛玉のようなもの
君はそれを愛と呼んでいた
無機質な白い部屋には、食器と食器が当たる”カチン”という高音だけが鳴り響いた
「いただきます」私はそれを咀嚼して飲み込んだ
すると、一瞬目の前がパッと眩い光に包まれて、気付けば空に浮かんでいた
見下ろすと快活な町で白いワンピース姿の君が笑顔で右手を振っていて
カナヅチの私は一心不乱に空を下へ、下へと死に物狂いで泳いだ
「後味はいかが」
「甘くて甘くて口にずっと残る」
”カチン”という音が響いて、全部、今までのこと全部が君の夢だと分かった
「最終回が始まる」
「どうかしてるよ全部」
「最後、ひとつだけ、いい?」
「最低な人生でした。」
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