第1話:和華衆への来客、そして招待状。
Mafia aux Fleurs(花マフィア)
第1話:和華衆への来客、そして招待状。
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【第1話:和華衆への来客、そして招待状。】
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真っ白な部屋の中に6人の人物がいた。
と言っても、歩き回れるような状態の人間は1人しかいなかったが。
自分は一体何なのだろうか。動けない5人の人間達は考えていた。
すると脳内に直接言葉が届いたのだ。
"君たちは能力者だ。しかし、螟ア謨嶺ス懊?蜷帙◆縺。縺ッ蜃ヲ蛻?@縺ェ縺阪c陦後¢縺ェ縺上↑縺」縺溘s縺?縲。ふふっ"
後半の言葉がよく聞こえなかった。
しかし、歩ける状態の人間は全てを聞き取れたのか、絶望的な表情をしていた。
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「―――――――起きて〜!」
その言葉が聞こえた途端どつかれ、椅子から転げ落ちる。
相手の顔を見ると、"あ、やば…"とでも言い出しそうな顔をしていた。いや、実際にその言葉を彼女が発していた。
「ははは…ごめんね、起こしてくれてありがとう。」
紫髪の青年―アサガオは苦笑いをしながら相手に近づき相手の頭を撫でる。
一方で、撫でられた背の低い彼女、るりりは頭を撫でられると『ま、まぁ?これが私の仕事ですし?というよりボスが起きなかったのが悪かったし?私は悪くない…』と後半になるにつれ小声になりながらも強がっていた。
・・・ボスと言う言葉が出てくるこの場所は何を隠そう、裏社会の様々な人達が集うマフィア『和華衆』の屋敷。
アサガオはこの場所で双子の妹、はち蜜雨と一緒にボスをしている。
基本的にマフィアの中でもメンバー全員が穏やかな『和華衆』は、内部分裂も起こることは少なく、比較的平和なマフィアグループである。
しかし実力は並のマフィアグループよりも遥かに上を行く。
武器ではない、歌で戦う世界になったからこそ穏やかな彼らが上に立っている。
この世界が歌で満ち溢れたのは何時からだろうか。そんな事は誰も覚えていない。しかし、何らかの理由があり、歌の力を持つ『能力者』と呼ばれる人類が生まれた。
それからは能力者達が世界に溢れ、そして各々の方面へと影響して行った。
そして今の『和華衆』が出来上がった。
でも、何か大事なことを忘れてしまっているような、そんな気分にアサガオは陥る。
その忘れていたものを思い出そうとしても黒い靄がかかり、思い出せない。
先程の状態のままでアサガオが考え込んでいるとるりりがふと声をだす。
「あ!そう!今日ね新しく仲間になりたいって人が来て・・・それと何かの招待状が届いたんです!」
「……仲間になりたい人…ほう。その人物は今どこに?」
「えっと、えっと、女王蜂様とポプカちゃんが客室で相手をしてます!」
女王蜂様―はち蜜雨の名前とポプカという女性の名前が出た途端、アサガオは目の色を変えた。
・・・あの二人に接客させて大丈夫なのだろうか。ナンパされてないだろうか。
と。アサガオはるりりに一言告げると客室へと向かっていった。
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客室にアサガオが辿り着くとそれは居た。
金髪の髪をした、女性にも男性にも見える人物が。
一瞬相手を見ると頭がズキリと傷んだ。
しかし今はそんな事などどうでもよかった。二人の安否が心配だったからだ。
すると二人…もとい三人は一緒に仲良く御茶会をしていた。
アサガオの目が点になる。その様子に気づいたはち蜜雨が「アサガオ、どうしたの?」と紅茶を手に取ったまま話しかける
なんなんめっちゃ平和じゃん。
そう考えていると後ろから猪突猛進で誰かが走ってきた。
誰か?ちがう。人じゃない。椅子が走ってきた。
不気味な光景に驚く客人。呆れてそれを見ている和華衆の三人。
そして椅子は一言こう言った。
「ぱんつ!」
椅子はそれだけ言うと走ってどこかへ消ええしまった。
なんだったのだ、一体。と一同が思っているとふと、ポプカが言葉を発した。
「わ、私!紅茶に合うお菓子用意してきます…!!」
そういうとポプカは急ぎ足で部屋を出ていった。
客室にはアサガオ、はち蜜雨、客人の三人だけが残る。
そしてしばらくの沈黙の後、アサガオが言葉を発した。
「んで、君は一体何者なんだい?この和華衆に入りたいだなんて。」
すると客人の口角が上がる。
「いやぁ、わたくしLETAと申します〜!この度は穏やかで楽しく過ごせそうな和華衆様に入らせていただきたくこの場に足を運ばせて頂きました〜!」
そうニコニコしながら客人―LETAは答える
「そうかい。ここは子供の遊び場じゃない。そんな事、大人である君なら知っているはずだろ?」
「…勿論分かっておりますとも!それともなんですか?この場で力を証明すればいいんですか?」
アサガオの問に対しだんだんと顔を歪ませながらも微笑んでいるLETAであったが、そんな時、お菓子を持ったポプカがやってくる。
「お菓子持ってきました!みんなで一緒に食べません…か?」
その言葉で緊迫した現場が穏やかになる。まるで先程まで何も無かったかのように三人とも笑顔でポプカを向かい入れた。
「ひとまず、私はれたを歓迎するよ〜!」と、はち蜜雨が言うと、アサガオも渋々承諾した。
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「ところで、るりりちゃん。招待状ってなんだい?」
皆がLETAの歓迎パーティなるものをしている時に、ふとアサガオがるりりに尋ねる。
「招待状ですか?招待状これです!ふふっ」
微笑みながらるりりがアサガオに招待状である手紙を渡す。
封はまだ切られておらず、封筒の表面には標準語で招待状と書かれていた。
中身を開けて確認しようとするとはち蜜雨とポプカとLETAもやってきた。
折角なので一緒に中身を見ようという事になり、みんなで中身を見ることにした。
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招待状:和華衆様へ
まずは本文をご閲覧頂き誠にありがとうございます。
本文はこれから行われる『歌合戦』への招待状となっております。
歌合戦とはその名の通り、歌でチームに別れて戦って頂くのものです。
ただしただの歌合戦ではございません。
マフィアの頂点を決める戦いでございます。
優秀な貴マフィア様方に是非お越しいただきたく、出場チケットも6枚ご用意させて頂きました。
また、観戦側としては何人でも連れてきて頂いて構いません。
それでは良い報告をお待ちしております。
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「は、はぇ〜なんかすごいことになりそう…」
そう、るりりが声を漏らす、するとそれに続けてポプカも"すごいこと…マフィアの頂上を決めるんですから本当にすごいことですよね…"と言葉を発した。
「…参加するとして、誰を選ぶか…だな。」
するとはち蜜雨が提案をする
「そうだね…あ、りんちゃんとかどうかな?実力派だしいいと思うよ!」
「ほえ?私がどうかしたの?」
はち蜜雨の言葉に反応したのは娘のお嬢とケーキを食べていた紫髪の女性、りんである。
彼女は暗殺部隊隊長尚で且つ、実力もボス二人に引けを取らない程の力がある。確かに彼女ならいいかもしれない。と、アサガオも納得する。
「後はねぇ〜…うーん、丁度ここに二人いるし!るりりちゃんとポプちゃも行こうよ!」
「「えぇ〜!?」」
二人の声が綺麗にハモる。思いもよらなかった展開に困惑しているのだ。しかしるりりは情報操作部隊の隊長…もとい幹部であり、実力はそれなりにある。
ポプカも入ってきてまだ日は浅いが、着々と幹部への道をあゆみ出している。
…二人のいい経験になりそうだな。と、アサガオはまたもや提案を受け入れた。
「そ、それならkoro氏も連れてってよ!私だけとか一人は嫌!」
koro氏とは…先程の奇声を発してどこかへと消えていった椅子である。
彼女の名前はkoro。るりりの能力で擬人化し、人間になれる椅子。
彼女も擬人化すればそこそこの実力の持ち主である。
「…よし、じゃあ参加するメンバーは、俺とみっちゃ、りんちゃ、るりりちゃん、ポプカちゃん、koroちゃんでいいかな?」
「はーい、異論ありませ〜ん!」
「いいと思う!ね〜?お嬢〜」
「が、頑張ります…!」
「魔法の練習しないと……」
とそれぞれが返事をする。
それに横からLETAが横槍を入れた「はいはーい!観戦で行きたーい!」と。
するとはち蜜雨がこう言った。
「観戦なら何人でもいいって書かれてるし、いいんじゃないかな?」
「…なら、一緒に行くかぁ。」
「わーい!やったぁ!嬉しいのでわちゃわちゃします!わちゃわちゃわちゃわちゃわちゃわちゃわちゃわちゃ・・・」
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「あ、そうだ!みっちゃん!良かったらポプちゃんの為にマフィアの名前ちょっといじろうよ!」
「名前をいじる…?うーん、それは流石にアサガオさんにも聞いた方が…」
「ん?どうしたの?」
「あ!アサガオさん!あのね、歌合戦に参加するメンバーでポプちゃんだけお花がビオラだから和じゃなくて…だからマフィアの名前をちょっといじれないかなって…思って!」
「ふむ、なら和華衆~ビオラソースを添えて~とかどうかな?」
「あ、いいね(๑╹ω╹๑)✰︎」
「ビオラソースを添えて…か、いいね!そうしよう!」
「ち、チーム名に入れてもらえるのは有難いんですが…本当にそれでいいんですか…????」
【第1話:終わり】
お借りした音源様:からくり卍バースト
#花マフィア
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