【声劇】アナタノ戯ヘ【朗読】
演者【貴方の名前】台本【希鳳】
【声劇】アナタノ戯ヘ【朗読】
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何かをふいに思い出して悲しくなることってよくあります。 その場所や空気が全部違うものに見えます。そこに自分がいるような、第三者としてみているような。目を閉じて声が聞こえた!そこにいるって思って開けてみても全部自分の中の幻なんですよね。
ということで!勉強の合間にとりました〜よければ聞いてください!#死別 #悲しい #暗い
素晴らしい台本ありがとうございました!
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黄昏時(たそがれどき)の片時雨(かたしぐれ)。
冷たく濡れた石段(いしだん)を登り。
赤茶(あかちゃ)けた鳥居を潜(くぐ)った先で、貴方は待ってくれているのだろうか。
霧がかかった境内(けいだい)で私は、錆(さ)びれた思い出に溺れるようにそっと目を閉じた。
ずらりと並んだ提灯(ちょうちん)と、騒がしくも暖かい喧噪(けんそう)。
鼻腔(びこう)をくすぐるリンゴ飴の甘い香り。
綺麗に笑う貴方の横で、私はそれを見つめている。
叢(くさむら)の陰でそっとべたついた唇を重ね、繋いだその手の感触を、今でも私は覚えている。
もう一度目を開けば、そこに人影などありはせず。
暗い静寂(せいじゃく)の中で私は独りだった。
煙(けむ)に巻かれたように、呆然と立ち尽くした私を嘲笑(あざわら)う雨の中で、見つめた先にある面影。
その瞳に映る私の姿は、酷く哀れで。
不意に伸ばしたその手が届くことは無い。
取り残された私は独り、過去に捕われたまま、くたびれた幻に縋(すが)るのだ。
叶わぬものと知りながら。
それでも私は、貴方と共にありたいと願う。
~アナタノ傍(そば)ヘ~
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