伏見弓弦④ 現在
花一時、人一盛り
伏見弓弦④ 現在
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それからどのくらい時が経ったのでしょうか。
気がつけば私は妖怪になっておりました。
「おい、お前!ここでなにしてる!」
声のした方を振り向くとそこには小柄なお方が立っていらっしゃいました。
「ここはボクの家の敷地だぞ!…んん?見かけない顔だな」
「気がついたらここにいたのです。あなた様の敷地だとは露知らず…申し訳ございません」
「ふんっ、みたところ本当に知らなかったようだし許してやろう、ボクに感謝するんだぞ」
「はい、ありがとうございます」
「…ねぇ、お前、このあと用事はあるの?」
「…いえ。特にございませんが…」
「ならボクの話し相手になれ!」
「私が、ですか?」
「その風貌も、柔らかな物腰も、気に入った!それになにより…その目。優しくて暖かくて、鋭くて噛みつかんばかりの剣呑さ。…うん、面白いな」
近づいてきたその方に思わず息を飲みました。だって、この方は、
「ボクは姫宮桃李。…ボクを退屈させるなよ!」
あの時と見た目も性別も変わってしまったけれど。本質は何も変わっていない。
「…はい、坊っちゃま」
私のお嬢様でいらっしゃいます。
ーーもう二度と、あなたを死なせはしない。
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