夏のふるさと

語り手() BGM(雨－あまね－音様) 台本(naoki)

#夏 #せみ #蝉 #セミ #効果音 #BGM #台本 #声劇 #自然 #環境音 #田舎 #夏休み #暑い #汗 #一人用台本 #一人用声劇 #コメント返します #聴きに行きます ※ご使用の際には拍手とコメントをお願いいたします。お借りしたBGMにも拍手をしていただけると幸いです。 初の台本投稿になります。学校の課題で俳句や短歌から物語の1場面を作りました。それを投稿させていただきます。 「ころがりし カンカン帽を 追うごとく ふるさとの道 駈けて帰らん」 寺山修司さんという方の短歌になります。 カンカン帽というのは麦わら帽子のことです。 自分で読んでみました！ https://nana-music.com/sounds/048322d7/ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 夢を追い上京した私は、 夏の長期休暇を利用し里帰りをする。 東京と同じでこちらも日差しは強いが、まだ涼やかな風が吹いているだけマシだろう。 などと物思いに耽っていると、小学生の集団の声で現実に引き戻される。 これもまた都会とは違い麦わら帽子などを被り日に焼けた実に子供らしい子らだ。 そんなことを思った自分に「すっかりおじさんだな」と小声で漏らす。 するとそれを笑うかのように一層涼しい風がいたずらっぽく私とすれ違い、子どもらのほうへと吹き抜けて行った。 「キャッ」という笑い声か悲鳴かわからない声に振り向くと、風のやつが子どもから麦わら帽を攫い、ころころと転がしていくところだった。 子どもたちはそれも楽しむつもりのようで、笑いながら追いかけて行った。 私にも同じように風にいたずらされた経験があることを思い出した。 帽子を追いかけながら見た向日葵畑、入道雲や蝉の声。 思い出すほど子供時代が懐かしく、実家が恋しくなった。 どうせ私を見る者は風しかいまい。 私は転がる麦わら帽を追う子どものように、言い知れぬ高揚感を土産にふるさとの道を駈けて帰る。