第8場 ヤスヒラという男
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第8場 ヤスヒラという男
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ヤスヒラ「ヨシツネ殿、ヨシツネ殿!」
ヨシツネ「なんか用か?」
ヤスヒラ「おれ、覚えてないっすか?」
ヨシツネ「悪いがこんな村に知り合い等いるはずもない」
ヤスヒラ「あぁ…わからないか…無理もない
オレヨシツネ殿が奥州にいた頃はまだ子どもっすから」
ヨシツネ「奥州?…お前!まさかヤスヒラか!?」
ヤスヒラ「しー!声が大きいっす!」
ヨシツネ「お前何故こんなところに?」
ヤスヒラ「お恥ずかしい話なんすが、京での用事を済ませ奥州に戻る途中道に迷っちまいまして…気がついたらこの村に迷い込んでたって次第っす」
ヨシツネ「お前もツネに会ったのか!?」
ヤスヒラ「ツネ?」
ヨシツネ「いや、すまぬ…なんでもない。」
ヤスヒラ「ヨシツネ殿はまさか本当におキツネ様に化かされて?」
ヨシツネ「キツネかどうかは!」
ヤスヒラ「おキツネ様に」
ヨシツネ「まだわからん!ここの連中は本当におキツネ様とやらを信じているのか?
というかこの村はなんなんだ!」
ヤスヒラ「そこなんすよ!そこ!いやぁよかった!いつかまともにその話が出来る人が現れるまでと思ってましたが、それがまさかヨシツネ殿だなんて!」
ヨシツネ「他にまともな奴はいないのか?」
ヤスヒラ「変な事言ったら何されるかわかんないっすよ。みんなここに迷い込んでから数日は正気を保ってるんすけど…話しかける機を伺っている間に気がついたら、パッパラパーって」
ヨシツネ「何故お前は平気なんだ?」
ヤスヒラ「そこがまた謎で」
ヨシツネ「謎だらけじゃないか!」
ヤスヒラ「でも…俺なりに色々調べてはいるんすよ出口ももうずいぶん探しました」
ヨシツネ「それでも見つからないというわけか」
ヤスヒラ「えぇ…この村には本当に…おキツネ様の幻術がかかってるとしか思えないっす」
ヨシツネ「そんな馬鹿な!」
ヤスヒラ「ヨシツネ殿!これ、見たことあります?」
ヨシツネ「いいや…全く。見たことないデザインだ」
ヤスヒラ「では、あの柱は?」
ヨシツネ「まるで…認めたくはないが人柱(じんちゅう)をこえたなにかが作っているようだ」
ヤスヒラ「おれ、どっちも見た事あるんすよ!奥州で!」
ヨシツネ「なに?」
ヤスヒラ「ご存知の通り奥州は独自のルートで大陸と貿易を盛んに行ってます!大陸からの舶来品にこれとよく似た物が沢山あった!」
ヨシツネ「ということは?」
ヤスヒラ「この村自体は幻術なんかじゃない、人間が作っているってことっすよ!」
ヨシツネ「ヤスヒラ…」
ヤスヒラ「そして、人が作ったものなら必ず」
ヨシツネ「人の手で解く手がかりがあるはず…か」
ヤスヒラ「その通りっす!」
ヨシツネ「なるほど」
ヤスヒラ「ま…ここまでなんすけど」
ヨシツネ「いやほんの少しだが希望が出てきた!協力してなんとか出口への手がかりを調べよう!
今度色々教えてくれ」
ヤスヒラ「あちらへ一緒に!」
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