ストーリー“2.5” ーエピローグー
管理人Z(The Chainsmokers & Coldplay)
ストーリー“2.5” ーエピローグー
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‐side“Fairies”‐
「はぁ…」
思わず、と言ったようにため息が出る。目線の先には、あるページが開かれたパソコン。そこに表示されているものこそ、ついこの前行われたユニット対抗バトルの結果なのだ。
そしてそれは、私達の負けを示している。
しかし、ため息の原因は、別に負けたことでは無いのだ。もちろん悔しさはあるけど、と言うか、凄く悔しいけど。めちゃくちゃに悔しいけど!!
今回、私達は正直ダメ元で管理人に挑んだ。異議を申し立てた所でスルーされることは想定以内、と言うか、むしろ相手にされない物だと思っていた。
それが、随分ご丁寧に返信がくるわ、バトル企画を立ち上げるとか言ってくれるわ、お陰でユーザーがある程度戻ってくるわで怖いほどに尽くされてしまい、混乱が抜けないまま、バトルは行われた。
こうなったらもう戻れないぞ、と、それなりの覚悟で戦いに挑んだのだ。ここまでされると、もう裏があるとしか思えない。散々宣伝をして注目を集めた上でこてんぱんに叩き潰し、晒し者にでもするつもりなんだろう。想像は悪い方向に進んでいく。
僅差だったとは言え負けを知ったときは、ぶっちゃけ焦った。だと言うのに、これまたやけに丁寧な健闘を讃えるメッセージが届き、そこには感謝の言葉とともに、「これからもライバルユニットとして交流を続けさせてくれませんか」なんて書いてあった。
なんか、想像して居たのと違う。
いや、まあ、これは良いことだ。分かっている。分かっているけど。
「…………はぁ。」
ため息を、どうか許してほしい。
あ~疲れた。どっと疲れた。私達の緊張を返してほしい。これぞ、拍子抜けだ。
いや、まあ、この話はもう良い。こっちが勝手に悪い方向に考えたんだ。一旦忘れよう。
気がかりなのは、管理人の事だった。
性別不明、年齢不明、分かっているのは加工された声だけ。そして、犯罪者。一切の個人情報が明かされていない分、常識はずれな、非道な面だけが目立っていた。
分かりやすく、失礼に言うのならば、相当ヤバい人だと思っていた。
それが、蓋を開けてみると、随分と普通の人間で。
どうして、こんなことを起こしてしまったのだろうか。もし彼(彼女)がまっとうな人生を生きて来た、ごく普通の人なのだとしたら、今回の事件は気まぐれでも何でもなく、何かしらの理由あってのものなのだろうか。
その理由とは、一体。
しばし考えてみるものの、部外者である私に分かることなんて、限りがあるし。その話題に、すぐに飽きてしまう。
とにかく、私達はこれからも歌い手を続けることが出来るのだ。この、「○☆△」で。
今はそれだけで、じゅーぶん。
さて、もう恐らく知っているだろうけど、仲間たちに勝敗の結果を伝えに行かなければ。
そして、この消化不良の思いを、分かち合おうじゃあないか。
私達は今日も、ネットの世界に魔法をかける、妖精さんなのだ。
ーーー
エピソード“2.5” ライバルユニット誕生!?
→→完結!
▼大変お待たせ致しました💧というわけで、結果は「匿名希望」チームの勝利です!どちらも本当に完成度の高いサウンドでした。これにて、第一回コラボイベントは完結です。ありがとうございました!
▼迷ったのですが、Fairiesの中でも誰目線なのかは、敢えて表記しないでおきました。Fairiesの方は、ご自分に置き換えて読んでみてください。
▼今後は、普段通りのイベント、歌合戦に戻りますので、皆さんよろしくお願いいたしますm(_ _)m
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