【朗読】冬の詩
曲:みぃこ様/文章・声:蒼
【朗読】冬の詩
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あの冬の日が(指先から温度を失くした冬の日)
足音を響かせ(ただ静寂を響かせ)
夢とうつつに(境界は曖昧だ)
夜空を溶かす(滲む星影は遠く)
霜の降る音を(かすかにふるえる刹那)
標しては眠る(夜明けを告げる鐘は鳴らない)
廻る思考と朝(憂鬱に身を捧げた窓際の席)
割れた硝子細工は割れるまま
落ちた卵は戻らない
水差しの切花(外の世界など知らなくていい)
鳥籠の金糸雀(捕える鎖は必要ない)
机に残る落書(はるか彼方の回顧録を)
薄れゆく記憶(留めておくことはできない)
夕暮れる西の(雁は雲居を越えてゆく)
翳る地平線に(稜線の黒影が浮かぶ)
帳を下ろす闇(目を閉じて息を止めた)
凍る夜を透かしていにしえの朝を見た
歩き去った向こうには空白だけが落ちている
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素敵なピアノ伴奏をお借りしました
#蒼の朗読
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