フラーティアイの彼女
ちとせ
フラーティアイの彼女
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〝ゆらゆら揺れるフラーティアイ〟
綺麗で愛しくて、だけど切ない雰囲気に魅了されました…♪*
素敵な台本をお借りしました!
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script by 卯木さゐく さん
新聞配達の朝は早い。
お日様が登りきらないうちから、
路地のタイルをカタコトと鳴らしながら
自転車で街を回るんだ。
…………
アイボリーの小窓から朝日がさせば、
ピンクブロンドの髪を揺らしながら彼女が目を覚ます
「おはよう、わたしのシャルル」
笑顔は咲いたばかりの花のよう
鈴を転がしたような声で彼女は囁く
君はオールビスクだから、とてもゆっくり動く
ヒビが入ってしまったら大変だからね
銀のフォークで髪を梳かして
粉砂糖をおしろい代わりに、
今日のリップは…フランボワーズのジュレかしら
「今日もお早いのね。お仕事熱心で素敵だわ。」
陶器の指が窓に触れれば、
ガラス越しに甘やかな香りが漂ってくる
朝焼けが彼女の瞳と重なると、
心臓をあまく掴まれたような
焦れったくて苦しい気持ちになる
「あなたのメルシェよ、いつまでも待つわ」
かわいいメルシェ、あまいあまいメルシェ
ハニーシュガーの夢は、お日様が登りきる前に
ゆらゆら揺れるフラーティアイ
今はまだ 見つめるだけで
甘くて焦がれて失神してしまいそう!
また明日 かわいいメルシェ
甘い夢で僕を溶かして?
………………
空と彼女の瞳が同じ色をしている時だけ
僕には彼女の声が聴こえる。
かわいいメルシェ
ほかの人形とは比べ物にならないくらい
上等なビスクドール。
僕なんか手が届かないようなそんな彼女は、
僕だけに笑顔を見せてくれるんだ。
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#卯木の台本 #ちとせこえ
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