【春_21日_朝】へし切長谷部///【春_21日_昼】小竜景光
Hypericum
【春_21日_朝】へし切長谷部///【春_21日_昼】小竜景光
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#ひぺなな
【春、21日_朝】へし切長谷部
近侍である俺が朝一番にすることは主に今日の当番を聞きに行くことだ。
「失礼します、今日の当番は…」
おかしい…、いつもなら部屋にいるはずの主が居ない。最悪の事態など考えたくはないが本丸中を探すことにした。……しかし、見つけることはできなくてみんなを集めた。
「主が本丸にいない、誰か知ってるやつはいるか」
俺がそう告げるとみんなが顔を歪めた。
「居ないってどういうことだ」
「そのままの意味だ。近侍の日課である当番確認をする際に部屋に行ったのだが主がいなかった。それから本丸中を探したが見つからなかった」
「主さー、昨日のお花見から変だったんだよね…俺がもうちょっと見てればこんなことにはならなかったのに…」
「確かに変だったな。昨日大将が俺っちに"いつもありがとう"なんて言ってきて…」
…"昨日"。昨日の主は至って普通に見えたが…初期刀である加州と初鍛刀の薬研はよく主を見ている。嘘をいっているようには思えない。
「誰が悪いとかはいま考えても仕方ないだろ。でもまぁ…俺たちがいる限り主は生きてるってことだろ?ひとまずは安心だな」
「でも、…いつまで主様の身体が持つか分からないじゃないですか。小竜さんが、……すみません」
「…俺が、…どうしたんだ?」
「五虎退、その話は後だ。…とりあえず、大将が戻るまで待つしかない」
…主が裏切るなんてそんなまさか、…な。
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【春_21日_昼】小竜景光
審神者である彼女が俺に残した最後の言葉がある。その言葉は「あなたの目でちゃんと見定めるの。そして、支えなさい」だった。主が居ない今、何を見定めて何を支えればいいのか全く分からない。
「薬研…さっき五虎退が言っていたことなんだがどう言うことなんだ?」
「あぁ…そのことだが、…大将の霊力が日に日に落ちていってるんだ」
…言われてみれば、少し身体が気だるいような気がする。顕現したばかりで慣れないからだと思っていたが。
「この本丸の刀剣が少ないのは大将の霊力ではこれが限界だからだ、…それと、資材が山のようにあるのもな」
「そんな中俺が鍛刀されたってわけか」
「あぁ…悪いな。五虎退は悪気があって言ったんじゃねぇんだ」
「いい、気にしてないさ」
顕現して間もないのに審神者がいない。しかも霊力が危ないだなんて若干居づらさがあるが…。
主は、…俺に何を伝えたかったんだ。
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