【春_20日_昼】加州清光///【春_20日_夕方】薬研藤四郎
Hypericum
【春_20日_昼】加州清光///【春_20日_夕方】薬研藤四郎
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#ひぺなな
【春_20日_昼】加州清光
毎年毎年春がくると庭にある一本の桜を囲み、花見をする。
「あーるじ、どうしたの?」
今日の審神者はやけに静かだった。いつもなら鶴丸の渾身のボケとそれに鋭い突っ込みを入れる長谷部の姿に腹を抱えて笑ったり、短刀達と一緒に花冠を作って遊んでいる姿があるのに…。
「余りにキラキラしてるから。」
そういう主はどこか儚げで、まるで今にも消えそうだった。
「桜、来年もみんなで見ようね。」
俺はそんな主の姿が不安になってそう言ったが…。
「…寝てるし。」
主が本当に寝ているのか、ふりなのか…それは俺には分からなかった。
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【春_20日_夕方】薬研藤四郎
「大将……って寝てるのか。」
「うん、さっきまでは起きてたんだけど。」
春とはいえ大将は身体が弱い、いつまでも外にいるのは身体に悪い。最近自分自身の体調も優れないから審神者である大将はもっとだろう。
「大将を部屋に連れていく。これ以上外にいるとよくないだろうし。」
「うん、よろしく。俺はそろそろ長谷部と鶴丸を止めないと。」
「あぁ、任せた。」
大将を背負い審神者部屋に向かう。昔の大将はもう少し身体が重かった気がする。なんというか、今の大将は背負っている気がしない程に重みがない。
「ありがとう」
「あぁ、起こしちまったか?」
「ううん」
大将はそう言って俺の肩に顔を埋めた。
「いつもありがとう」
…大将のことを背負ったのはこれがはじめてではないがそう多い方でもない。"いつも"と言われるにはまだ早いが。
「それをいうなら俺っちの方だ」
俺っちの方が大将に世話になってるし迷惑もかけているから。……でも、大将はどうして急にそんなことを俺っちに言ったんだろうな。
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