【夏_?日_夜】カキツ
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【夏_?日_夜】カキツ
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【夏_?日_夜】カキツ
すぐ隣で娘が泣いているのがわかった。
もう、…娘の涙を拭うことも家族の話をして楽しませることも出来ない。
娘の顔を、みんなの顔を見ることが出来なくなってしまった。
重たい身体がそれを許してくれないのだ。
ー
私が審神者になったのは15年前の春の桜が綺麗に咲くある日だった。
その時娘は5歳で審神者になるかならないかを悩んでいたのだけど…私と彼がいなくなった時この子が寂しくならない為に審神者になることを決めた。
それがいつしか刀である彼らのことも家族同然と思うようになった。
そう思えるほど信頼し合える仲になったのに…神様は時に残酷で、審神者であることが私の持病を悪化させた。
私は徐々にこの本丸が娘に渡るまで持つのか不安になった。
この本丸が…私の短い命のせいで終わるのなら今娘に継いだ方がいいと、そう思った。
今になって考えると娘の為に本丸を利用した、または本丸の為に娘を利用した感じになってしまったけれど。
もしかしたら神様の力を利用した罰なのかもしれない。
多くを望まずに…初めから3人で暮らしていれば良かったんじゃないかと。
ー
本当はもっとみんなと居たかったし家族の成長を見ていたかった。
それでも私は逝かなければならない。
…それでもやっぱり死にたくないなんて言うのは私の我儘だろうか。
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