【声劇用台本】秋雨を待つ【一人用】

あやかし: BGM:四ノ宮りゐ様 台本:ユツキ

#四ノ宮りゐオリジナル #優しい #美しい #台本 #一人用台本 #一人台本 #声劇 #一人声劇 #声劇台本 #朗読 #朗読台本 #ユツキの台本 #切ない #悲しい #二次創作 #夏目友人帳 #コラボ用 #コラボ待ち #フリーコラボ 妖になりきった感じで読ませていただきました！ 私は雨を待っている。 会いたい者がいる。 それは静かな秋雨(あきさめ)の悪戯で、一度合間見えただけの、人間。 あれは、気持ちの良い雨に濡れる私に傘をくれた。 風邪をひくと言葉をくれた。 あやかしである私を、同じヒトだと思って……。 私はあやかし。 あれは人間。 どうしたって相容れぬもの。 どうしたって触れ合えぬもの。 常(つね)のあれには、我らを見ることさえ出来ない。 だからこれは、あるはずのない出会いだったのだ。 あの美しい雨の、気まぐれ。 ああ、どうして私はあの時、あの人間の目を見てしまったのだろう。 美しく透き通った、夜闇(よるやみ)のような瞳が忘れられない。 もう一度、あの瞳に映りこんだ私が見たい。 叶わぬ願いの水泡(すいほう)が弾ける音を、心で寂しく聞く。 それでも、もう一度奇跡が起きてくれるのではないかと期待して。 もう、あれの一生に一欠片(ひとかけら)も関われないのだと知りながら。 私は今日も、雨を待っている。