【朗読台本】斜陽
声: BGM:鍋島萌子 台本:明烏
【朗読台本】斜陽
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彼女は直ちに答えが欲しいのだ
薄いカーテンが背骨を撫で
容赦のない西陽が
部屋の壁に葉の影を揺らす
とくべつになりたいだけ
そう言って毛布を掻き抱く彼女は
こちらに背を向け嗚咽をもらす
何を言うべきかはわかっている
彼女が欲しいのは 安心だ
条件を満たす言葉を探し始める脳に 警鐘が鳴る
あなたのことばはこわい
あなたがわからない
あなたにはあいがない
あなたには わからない
あいしてる
反芻する彼女の言葉
痩せた肩が震えるのを 黙って見下ろした
愛がないという言葉に愛はあるのか
浮かんだ疑問に
こわいという彼女の声が重り 振り出しに戻る
わかり合うつもりの無かったことを
きっと気取(けど)られてしまった
俺がずっと昔に諦めたことを
彼女はまだ 信じていたというのに
あいしてる
消え入りそうな声で
彼女はまた そう言ってみせた
うずくまる背中が愛おしい
だが、それ以上に
俺はその5文字に
ぞっとしたんだ
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