【声劇】見るな見るなと、君は見た。
凛⌘
【声劇】見るな見るなと、君は見た。
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お送りいたしました。
〜自分を見た人を殺してしまう妖怪のお話〜
見るな見るなと君を見た。
揺れる髪が風に舞う。
人の匂いがした。
嫌いなあの、いい匂いがした。
話しかけても良いのだろうか。
見るな見るなと君を見た。
その綺麗な瞳に映りたい。
君は野に咲く花じゃない。
夜に舞う星じゃない。
今でも君は振り向きそうで。
触れたい、知りたい、見て欲しい。
滑稽なこの、恋心。
見るな見るなと君に声をかけた。
見たらお前は死ぬであろう。
だから見るな。
ただ聞けと。
君は野に咲く花のように。
夜に舞う星のように。
触れたらきっと、崩れてしまうであろう。
だからそこで、ただ聞けと。
ただお前が恋しいと。
見るな見るなと、君に叫んだ。
寂しいほど、嬉しいと。
嬉しいほど、死にたいと。
愚かな生き物、君は見た。
絶望の始まりを、僕は見た。
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