黄昏時の散歩道
台本:相良和沙 読み手:
黄昏時の散歩道
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#声劇 #声劇台本 #台本 #朗読 #朗読劇
#フォバ率1000 #拍手返す
素敵なBGMお借りしました。
逢魔が時(おうまがとき)、黄昏時(たそがれどき)、
実はいろんな世界をつなぐ時間なのです。
一人称変更、アレンジOKです。
宜しければ是非!
↓台本↓
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黄昏時に不思議な体験をするそうだ。
だが、私はそんなの一ミリだって信じていない。
貴方が好きそうな不思議な話を、何となく今、思い出してしまっただけだ。
夕暮れ時の田んぼ道は秋の匂いがしていて、どことなく神秘的な心持ちがする。
貴方はこういうの凄く喜びそうだ。
帰ったら教えてあげようかな。
正面からさす夕日の光が目に眩しくて、思わず手で覆ってしまう。
コオロギと鈴虫が羽音を立てて私の後ろをついてきているらしく、コロコロとずっと泣いていた。
「ねえ、元気でね。苦しかったら捨ててもいいんだ。君と巡り会えた、それだけで幸せだった」
前から誰かが歩いてきているのはうっすらと見えていたが、逆光で顔までは判別出来ない。
ただ、通り過ぎたときに聞こえたこの声は、紛れもなく貴方のもので、貴方の香りが私を包んでいたのだ。
振り返るな。今のはきっと黄昏の幻。
明るい夕日が沈んでいく。
線香の匂いが私の鼻を突いて、零れる涙を拭いとってくれた気がした。
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