「平野藤四郎といいます!お付きの仕事でしたらお任せください。」
違う。
この人は違う。
「あの、どうかされましたか?」
「すみません、此度の戦績を持ってきたのですが、お時間空いてますか?」
あぁ・・・すみません。
「お茶、いかがですか?仕事の詰めすぎはよくないですよ。」
あなたを主君とは呼べない。
「あぁ、困りました…どこまでもお供すると、言ったのですが…」
あなたは、私の主君ではないのです。
だから最期まで、あなたは主君と呼べない。
私は主君が初めて鍛刀された刀だった。
長い間過ごしてきた。
地獄の底までお供すると誓った。
だけど、戦の帰りに検非違使に襲われて、部隊の皆を逃がして─────
私の力が及ばなかった。
私は先に行って待っていよう。
主君が来るのを、気長に待とう。
何十年でも、何百年でも待っていよう。
ゆっくり、ゆっくりと長い月日を経て主君が来たときにはお茶を渡してお疲れさまでしたと言おう。
その後はまた、お供しよう。
そう、思っていたのに。
「平野藤四郎といいます!お付きの仕事でしたらお任せください。」
さ あ も う 一 度
気持ちが永遠とループループする。
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