立ち上がる僕の手を掴んで
その拍子にグラスが落ちた
たった数秒が長すぎて
たった一言も言えなくて
偶然か必然かどちらでもいい
ただこの辺が破片が
いま消えるのを待っていた
指に触れるだけで
胸が高鳴ってた
そんなふたりはいつが最後だったろう
今は触れるだけで
痛むほどに酷く腫れていた
そして僕はそっと目をそらして
きっと終わりだった
ずっと分かっていた
ついにエンドロールだった
僕は店を出ると
もう振り返るはずもなかった
すぐに泣く君が嫌いだった
最後の最後で本当はね聞きたかったよ
硝子の破片を拾いながら
床を拭く君の手に目を疑ってた
どうして指輪外してなかったの?
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