【一人声劇】夜刻色

貴方のお名前

たくさんのさよならと おやすみなさいを抱えて､ 立ち止まったままの月夜が息をしている。 夜に迷い込んだ星たちの紡ぐ子守唄が恋しくて､ 手のひらで目を塞いだ。 脳裏に浮かぶ音の羅列(られつ)は､ 記憶の端にも残らずにゆるりと溶けていく。 溶け落ちていく意識の底で､ 砂糖塗(まみ)れの幼い悪夢が 口を開けて僕を呑み込んだ。 ぷつりと空いた穴を 針の先で広げるようにして､ 生まれたばかりのそれが 瞳の奥へと潜り込んでいった。 緩やかな眠りについたままで いつかの終わりを愛することが出来たなら、 どんなに幸せなことだろう。 叶わないよと笑う自分の声に､ ただただ聞こえないふりをした。 今はもう月を見上げる勇気もない。 冷たくぬるつく水の切れ端に指を這わせて 濁る水面をさざめかせる。 全て。 誰かが投げた時計の話だ。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ BGM： レーニャ様 素敵な伴奏をお借りしました🐋 アレンジアドリブ大歓迎です ◎ 使用する際には 拍手･コメント を。 #羽を織り言の葉を紡ぐ #夜刻色 #一人声劇 #1人声劇 #声劇 #台本 #声劇台本 #朗読 #朗読台本 #コラボ待ち #BGM