【朗読台本】人を食らう棘
台本: 壬音 声: ゆかり梅
【朗読台本】人を食らう棘
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案外演技力あると思うんだよね、うん
*本来の主旨と違った感じになっています
私の中に小さな棘が生まれる
それは私の臓腑を食い破って育ち
外へ繋がる世界へとにじり寄っていく
ただ誰かを傷つけたいという
汚れた感情が集まり
それが捻(ねじ)れて出来上がった
穢(けが)れてゆがんだ歪(いびつ)な棘
こんな醜いものを
外に出してはなるものかと
私は必死に体をよじる
棘はその身に触れる私の肉を
尽(ことごと)く毟(むし)り取っては食らいつき
じわりじわりと大きくなっていく
このままでは棘が私を食らい尽くして
「私」がいなくなってしまいそうだ
声を
私を呼ぶ声を
この棘が私を食らい尽くして
大切な人達へと毒手を伸ばす前に
私の名前を
どうか
あなたの声で
最後に呼んではくれまいか
そうすれば
この棘ごと消え去る勇気も
湧いてくるというものだ
だから名前を
私の名前を
鎮魂歌の代わりに
呼んではくれまいか
どうか
名前を
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