誰も知らないハッピーエンド
40mP
誰も知らないハッピーエンド
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❁語り手❁
審神者(紫蘭)
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ぶわりと、桜が舞いました。顕現したのは、「初期刀」。
感情豊かな狐の声に後押しされて、彼女は彼を戦場へと送り出します。しかし、彼は、ボロボロの姿で帰ってきました。目の見えない彼女は、震えました。手入れなんて、できる気がしない。青褪めてしまった彼女に彼は温かい口調で話しかけます。人の身を得たからやってみたいこと、審神者の好きなもの。彼女は、ゆっくりと彼の持つ刀に触れると、恐る恐る、手入れを始めました。
狐に言われて、とある部屋の、小さな人たちに、資材を手渡しました。すると、彼女の前に、少年が現れました。彼女が自らが盲目であることを告げると、少年は、ゆっくりと、審神者に触れました。
「主様。僕は五虎退といいます。主様、ぼくは、ここにいます」
月日が経ちました。本丸からは、たくさんの笑い声が響きます。
山へと消えていた山伏や、それに同行していた一同が捕まえてきた畑荒らしの猪をジビエにしてみたり。
新撰組の刀が釣り大会をはじめて、海藻しか釣れなかったり。
謙信と毛利が近侍争奪戦をしてみたり。
彼女と、彼女の周りにいる人たちは、たくさん笑いました。言葉を交わしました。歌いました。
何も特別なことは無いけれど、彼女は……私は、今、誰よりも幸せです。
めでたし、めでたし。
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