【ホラー台本】「ユビアツメ」
グリリ
【ホラー台本】「ユビアツメ」
- 39
- 2
- 2
朝からホラーですみません┏○))ペコリ
ずっと前にとある方の仕事の話を聞いて出来たお話を90秒用に。ちょっと分かりにくいですが。
↓以下台本
「1ヶ月に3人は笑えねぇな」
先輩の宮部さんもさすがに苦い表情を見せた。
僕が勤める工場で指をなくして退職するという事態が相次いでいた。
工場内では妙な噂が流れていた。事故前に皆共通して男の子を見ており、
“ユビヲカエシテ”
そう言われたそうだ。くだらない怪談話のようだ。
しかし、数日して宮部さんもなんの前触れもなく工場から姿を消した。
『ただの事故じゃないかもしれん』
僕は宮部さんの言葉を思い浮かべながら事故じゃない理由を探し始めた。
そして三十年前にもこの工場で今と同じような出来事が起きていた事を知った。
僕は最初に事故を起こした田浦という男性と電話で話した。
「皆子供を、見たそうだ」
僕が調べた限りでは、田浦が事故を起こしてから相次いで他の社員も指をとばしていた。
「……あれは、ユビアツメだ」
*
暗い夜道を帰りながら、頭の中で田浦から聞いた三十年前と今を照らし合わせる。
今回も、おそらく同じなのだ。
“ねえ”
ふいに背中を言葉が這った。子供の声だった。
振り返った先に男の子がいた。
血まみれの小さな両手には、不釣り合いな大きなハサミが握られていた。
ーー……この子まさか……。
ああ……やっぱりそうだ。
今回の件で、1番初めに指をとばしたのは八千代(やちよ)という男だった。
『夜、息子がふらっと気付かぬ間に消える事が何度かあった。だが後で聞いても何も覚えてないと言うんだ』
八千代にも息子がいた。
目の前の男の子には八千代の面影がある。
『そんな事が続いたある日、夜中に息子に起こされた。そして、真っ赤な両手を俺に広げて笑いながら言ったんだ』
今回は3人。そして僕。
八千代が飛ばした指はーー。
ーー4本か。
『指を集めてきたよって』
今回のユビアツメは、僕で終わりだ。
※物語の補足
昔々、あの工場がまだ小さかった頃に一人の男が作業中に指を飛ばした。
男はそれが原因で仕事をやめた。男には家庭があった。妻と小さい男の子。
時代のせいもあったのか。指を失くした男は奇形と蔑まれ、新たな職にありつく事が出来ず、家族を養う事が出来なくなった。
「お父さんの指さえあれば、良かったのに」
息子の言葉で男は限界を超えた。二人を殺し、自らの命も経った。そんな事があったらしい。
それ以降、工場で指を飛ばした作業員が出ると、死んでしまった男の子の魂が蘇るという。そして、その職員に男の子供がいた場合その子に取りつき、父親の指を集めようとすると。
という背景があってのお話です。
#bgm #ピアノ #ホラー
Comment
2commnets
- グリリ
- 那実想像しちゃうとなかなかにグロいお話…(・ω・) 夏らしくゾワゾワさせていただきましたわ(>_<)