台本「旧愛なるアンチテーゼ」
台本 神夜 皐月()×圭吾()
台本「旧愛なるアンチテーゼ」
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〇皐月(さつき)
◎圭吾(けいご)
〇…姉さん
◎…何?また来たの?
〇僕は何度でも来るよ。姉さんを止めるのは僕の役目だ
◎呆れるわホント…何回目よ?このやりとり
〇今なら…今ならまだ間に合う!もうやめてくれ!姉さん!!
◎…間に合う?これだけ人を騙して堕ちることまで堕ちて…!!もう、抜け出せない泥沼に浸ってるのよ!!
〇そんなの言い訳だよ…。
◎何を言っても無駄。私は知ったの。誰かにすがって生きることの無意味さを
〇…どうしてそんなこと…!
◎誰も信用できない。信用なんてしない方がいいの…。私のこともね
〇な…!待ってよ姉さん!!話しはまだ…!!
(スタンガン音)
〇…がはっ!!
◎アンタは本当にお馬鹿さんね。もういいのよ?どうせ血の繋がりもないじゃない…
〇………。
〇(待ってよ姉さん!僕には…僕には姉さんしか居ないんだ!だから、姉さん…!!姉…さん…)
◎こんなことする私も、人のこと言えないぐらい大馬鹿者…か…。ははっ…
皐月と圭吾は血の繋がりがない
それでも彼らは、まるで本当の家族のように
本当の姉と弟のように接し生きてきた
皐月は8歳の時に母親志願の一家心中に巻き込まれ、難を逃れた。
両親を無くし、親から殺される恐怖を味わった彼女は孤児院に拾われる
圭吾もまた皐月のように親の恐怖を目の当たりにした。
父親の暴力により、母親は耐えきれず自殺。残された圭吾は更に狂気に満ちた父親の暴力に耐えきれず、家を飛び出す。
圭吾は当時6歳。
道端に倒れた圭吾に手を差し伸べたのは、11歳になった皐月。
家族と言う存在がない者同士、似た様な親の有り様を経験した者同士。
何年もかけてお互いが家族だと思えるまでの絆を作り上げた。
それから13年後
皐月は圭吾の前から姿を消した。
人を騙し、金を盗み、人の人生を食い尽くす怪物に成り果てていた。
皐月が消える前に残した言葉が、圭吾は気になって仕方なかった
「ゴメンね。こうするしかないんだよ…」
#神夜 #神夜台本
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